歯科医院経営者レポート2008年9月号
栄・枯・盛・衰の根本原理
栄・枯・盛・衰の根本原理
物には物の理があり物理がある。心にも心の理があり、理によって心が存在し活動を促していく。そういった心の本質的な働きを心理という。人間の心理というものは複雑で目先の利害得失に影響され、常に感情の働きが理性を上回るようになっている。故に苦しんだり悩んだりする。善悪を判断する理性が感情に支配されると、良い結果に恵まれることは絶対にあり得ないし、精神的な幸福がもたらされることもない。
感情をコントロールするのが思想や哲学であり、賢人が【
思想哲学】に参学し共感する意義もここにある。 思想哲学を抱かない人性や経営ほど危ういものはない。
☆人性・経営の五衰
社会的な成功はその人を有名にするが、有名であるが故にあちらこちらに引きずり回され、あるい は目先の利害得失に目が眩み、身心を養う時間も忙殺され人間としての内容を無能にしていく。有名人というものは人間としての内容に立ち入れば無力に通じ、有力であるためには無名でなければならない。社会を根底から支えているのは無名有力な方々であり、無名有力の第一義は【骨力】があること、すなわち【元気と気力】が伴っていなければ有力とはならない。
世の成功者の多くは成功に酔いしれる。酔いしれるが故に進化が阻害され、時代の変化に取り残されやがて没落していく。たとえ開業後まもなく経営が軌道に乗ったとしても、その成功が四十過ぎからの衰退の要因ともなりかねないように、有名も成功もある面では失敗・破綻・崩壊の要因となる。
小説家・幸田露伴(1867~1947 年)は人性を木の栄枯盛衰に例え、有名や成功の危うさを警告している。木々が成長し枝葉が茂り過ぎると、根や幹の日差しや風通しが悪くなり【懐】が蒸れてくる。
何事も過ぎたるは及ばざるが如しで過ぎることが過ちの元凶で、過分・過剰・過多・過度・過食等々は余程注意しなければならない。懐が蒸れてくると根や幹に虫がつき【虫食い】が始まる。虫食いが始まると天辺から枯れ出し、そうなると【成長】が止まってしまう。成長が止まると根上がりし、養分が補給されなくなり【根幹】が空洞化してくる。見かけは立派だが中味は空っぽで、倒木は時間の問題となる。
枝葉が茂り過ぎたら予防策として、先ずは適度に枝葉を【剪定】しなければならない。庭師が枝葉を剪定するのは木々を健康的に育てるためであり、又、農作物を作る方々も、咲いた花全部を実らそうとはしない。全部を実らそうとすると養分が不足し、不味い果実になることが分かっているからで、咲いた花を適当に間引きし、そうすることで美味しい果実が得られる。庭師や農家の方々の剪定は道理を弁えて行うものであり、素人が剪定してもミスマッチになることは間違いない。
この木の五衰原理は人性や経営にも当てはまり、財産・地位・名誉等を手に入れると、それに自惚 れ人間としての成長発展の養分となる【真理や道】を学ばなくなる。学ばなくなると人間としての成長発展の養分が補給されなくなり、成長が止まってしまい、やがて人間としての中味が空洞化してくる。
(以下略)

